太陽神の贈り物を尋ねて6.5

カンダタの言った通り、サマンオサの城にはなかった。
だが幸い、サマンオサの王族がサマンオサの洞窟に奉納しなおしたことを聞くことができたので、一度奉納したものをまた借り出すのもあれだが、洞窟に向かうことになった。

カンダタはイザたちよりも遥かに強かった。
ハッサンはカンダタにイリスに似たところを見出したらしい。
重量級のパワーがありながらの鋭く素早い攻撃に感動して、カンダタから秘訣を聞き出そうとしているようだ。
カンダタもそう易しくない。盗賊が手の内を明かすわけないのである。
…つまり、自分で見て盗めということである。

イザ一行だけではパワーとスピードを両立する攻撃手はいなかったので、カンダタから盗めることがたくさんあった。
ヒートギズモや紫色の気味の悪いキノコなどの野良モンスターを蹴散らしながら、カンダタと共にバハラタの北西にあるオリビアの岬へ向かった。

リビアの岬は静かな湖に接する半島の先端部分である。
大昔、水難事故で引き裂かれた恋人の悲しい魂がさまよい、船が転覆する事故が多発した。
湖に身を投げた女の名前がオリビア…かつてオリビアの悲しい叫びが聞こえるたび船が転覆させられた岬、それがオリビアの岬なのである。

リビアの岬には船着場以外に宿屋と堅牢な祠があった。
東の山脈を越えた先のさらに先の先にある極西のポルトガという国から派遣されてきたという兵士が警備をしているその祠は、東の果て、グリンラッドに一瞬で飛ぶことのできる「旅の扉」なのだという。

カンダタに連れられて祠の中に入ると、どこか見たことのある景色だった。
「これ、あの井戸に似てない?」
イザは不思議とはじめてな気がしなかった。
「この光の漏れ方、確かに似ていますね」
と、チャモロ

元いた世界には二つの世界をつなぐ井戸があった。
その井戸にそっくりなのである。
ただし、井戸ではなくてただの四角い空間から青い光が漏れているだけなのだが…

「見たことあったのか。不思議なもんだ、どこの世界にもあるのか」
「ってわけじゃないとおもいますけど…」

イザは苦笑しながら青い光に足を踏み入れた。