太陽神の贈り物7.5

「ぎゃあっ!…なんだよ、イザ、ひやっとしたじゃねえかよぉ」
「ごめんごめん、悪気はなかった」

サマンオサの洞窟は沼地の真ん中、古びた橋を渡った先にあった。
朝起きたイザたちはカンダタが手紙を残して別の手がかりを探しに行ったことを知り、自分たちだけで洞窟を探索することに決めた。
地図を片手に、用意周到なほど薬草を買い込んで慎重に洞窟へと向かったところである。
鉄の橋は沼地の成分で変色がひどく、周辺にウロウロしているゾンビマスターの奇抜な黄色と赤と緑の装束も手伝って気味の悪さを存分にかもし出していた。

洞窟の中は地上よりも暑かった。
ところどころに水溜りが出来ているが、水はどれもぬるい。
チャモロが推測するに、これは地下水で、この暑さは火山が近い証拠なのではないかということだった。

階段を降り、地下二階に着くと、何もない一階とは打って変わって宝箱だらけだった。

「なんだこれ!」
「おい、開け放題か?まさかの」
ハッサンが近くにあった宝箱をあけようとしたので、イザはとっさにインパスを唱えた。
しかし、イザが赤い色を認識するころにはハッサンはもう箱を開けてしまっていた。

「うわああああ!」
「ハッサン!」

箱の中からは不気味な目と舌が飛び出し、重たい箱とは思えないスピードでイザたちのほうに跳びかかってきた。
弾丸のごとく跳んできた箱はチャモロの槍に跳ね飛ばされたが、まったく効いていない様子で再びこちらに向かってくる。

ミミックだっ!」
ミミックはザキをつかうよ!気をつけて!」

バーバラがギラの呪文でミミックの視界をさえぎった。

「走れ!」

一行は大急ぎで階段を駆け上った。下から跳ね上がってくるミミックにイザはルカニを唱える。
ハッサンが大きく地を蹴って、ミミックめがけて飛び降りた。
「くらええええっ!!!」
上から飛び降りたハッサンの足がミミックの鉄の体に叩きつけられる。

「グェ!」

ミミックの体にびしっとヒビが入り、床に落下した。
舌がびくびくと動いているのを見てイザは剣を振り下ろした。

「あー、死ぬかと思った…。これからはインパスかけてから開けような…」