太陽神の贈り物を尋ねて8

イザ一行はサマンオサの洞窟の地下二階で宝箱を開け続けていた。
まずイザがインパスを唱え、色を判別してから箱を開ける。
中身はたったの24ゴールドから命の石まで千差万別であったが、開ける価値はあった。
貴重な命の木の実もあったからだ。

「しっかし、ないね〜」
バーバラは開けたばかりの宝箱の蓋を閉じてその上に腰を下ろした。
「やっぱり『奉納』なぁんて言うくらいだし、祭壇とかあるのかな…」

「月鏡の塔もあれだけしっかり鏡が守られてたものね」
と、ミレーユ。

「地底魔城より悪いよここ〜、だって地面ぬるぬるなんだもん」

バーバラが片足を持ち上げてブーツの底を確認したそのとき、バーバラの座っていた宝箱が急にがくんと沈んだ。

「きゃっ!」
「バーバラあぶないっ!」

とっさにミレーユがバーバラの手を引く。
そこに、宝箱の陰から黒い影がすうっと伸びて怪しげな形をとった。

「ヒャド!」

ミレーユが魔法を唱え、氷の刃が影を襲う…と誰もが思った。
しかし実際は逆になっていた。
ミレーユに氷の塊が降り注いだのである。

ミレーユに突き飛ばされて無事だったバーバラが地に座り込んだままギラを唱えるが、影の使うヒャドはヒャダルコレベルの強さで、バーバラは唇をかみ締めてベギラマで対抗する。
氷と炎のぶつかりあう光で剣を握った男たちは立っていることが精一杯だった。
チャモロマホトーンで影が沈黙すると、イザとハッサンは飛び出して影を切り裂いた。

「ミレーユ!!」

宝箱のあった場所には大きな穴が空いていて、穴の縁をミレーユの細い腕が必死に掴んでいた。
イザはミレーユの腕を掴み、引き上げようと両足を踏ん張った。

ザラ…

泥だらけの洞窟に砂の崩れる音が聞こえる。
それは要するに、どこかが崩れることを示していた。

「く…!」

ミレーユを引き上げようとしたイザの足元もひび割れて崩れていく。

「イザ!」
「あっちへ逃げろっ!」

バーバラとハッサンが後退するのを確認したイザは、ミレーユの腕をしっかりと掴んだまま暗闇の中へと落下していった。