最終回補完ミニ小説(風×千里)

どこから述べればいいのかわかりませんが、優&智&翔の勝負は翔が勝ったのですね。そしてあのラストはなに?!(笑)翔派おめでとう!?

実はですね、このBlogにも翔×千里狙いのお方が大勢訪れているようなのです。そろそろそういうモノも投稿したほうがいいのやもしれませぬ。でももうおわってるんだよね…どうしよう

というわけで今回、検索で一番多い翔派を裏切って(笑)、風×千里を書いてみました!wwwだって原作で風かわいそうすぎるんだもんwやっぱダメなのか地上波で近親相姦はだめなのか?!w

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時田が譲ったミラクルの社長になって、一度は解散したように見えた一家もいつの間にか戻ってきている。男6人、女1人。どう見てもキケンな香りがする。

(まったく…特にあの三人!あからさまに千里を狙ってやがる)

そう、自分以外は血のつながりの無い男ばかりで手を出しても何の問題も無いのだ。だから彼らは…若さもあるけれども!自分は理性で考えるとどうもダメだ。可愛い妹なんだ、女じゃなくて可愛い妹なんだ、ほっとけないのはそのせいだからと思い聞かせては頭を悩ませる。

(女の家を転々として泊まり歩いた俺が、いまや一人に手も出さず妹として温かく見守ってるいい兄貴であろうとしているなんてね…)

しかもあの様子からして、翔は千里に告白したのだろう。そして断られたのだろう。千里はああいう性格だから、翔のことを好きでも、うんとは言わないだろう。家族を守るため、バランスを保つためだ。

(あいつはまだ母親のつもりだなんだろうか)

そんなことを考えながら、昼早くに帰宅する。

「ただいまー」
「風!おかえりー!」

笑顔で迎えた千里はミラクル2号を布巾で拭いていた。

「なにやってんの?」
「え、ミラクル2号のお陰であたしたちこうして暮らせてるのに、アレ以降どうも忘れてたというか…だからせめて拭いてみよっかな、って」

腕を組んでその様子を見つめていると、千里がふと手を止めた。

「風、ありがと」
「…なんのことだ?」
「風が…お兄ちゃんでよかったと思って。風がミラクル2号作ってくれなかったら、あたしたち、今頃…」
「作らないなんてことは、ねーよ。家族のためだろ」

口はそういう、けれど、本当は家族のために作ったわけじゃない。兄と呼ばれることに違和感がありすぎる。男だけで話し合ったときは決めたのだ。みんなでここを出てバラバラに生きることを。けれども、千里がここを守ると決めた時から本気で母親十ヶ条を完成させてみせようと思った。

(たった一人の妹。そして、そう気付く前は助けてやりたい女だった。その気持ちは今でも変わらない。俺たちだけが、親父の意思を継いで「家族」と「ミラクル」を守る、本当の…)

「…千里」
「ん?」
「俺は、弟たちなら勝手に上手く生きていくと思ってたから心配はしてない。ミラクル2号を完成させたかったのはお前のためだったんだよ」

千里が、え、という顔でこちらを見上げてくる。その頭に手を置いてやわらかい髪をゆっくりと撫で、同じ目の高さまでしゃがみこんだ。

「俺が支えたいと思った女で、半分血が繋がった兄妹のお前の願いを叶えたかった。ミラクルを守ろうとした俺、家族を守ろうとしたお前、どっちも本当に、親父のこと真剣に考えてる…」

じっと見つめて話していると照れくさくなって、一度斜め下を向いた。情けない顔になっている気もするが、言いたいことは言ってしまったほうが楽だ。

「誰が婿に行こうが、本当の親のところに帰ろうが、俺の帰る場所はお前のいる所だけだ。一緒に親父の残したものを守ろう」
「風…」千里が驚いたように言った。「風がそんなことあたしに言うなんて」
「はぁ…実の妹だぜ?…馬鹿弟どもが『千里さんは僕のものだっ!』とかピュアに叫ぶ中で俺がどんな気持ちだと思う?あいつらが誰が千里に告白するか取り合ってるのを見たって…こちとら、あったって伝えられない思いってモノがあんだよ」

ふいっと背を向けて歩き出そうとした時、千里の声が降り注いだ。

「まって!」

振り向く勇気は無くて、その場で立ち止まった。

「あたし、翔の…断ったの」
「そーかい」

ぐっと、力の入った声が聞こえた。

「家族を守りたかったの!家族としてなら、風と居ること、許されるから…っ!」

吐くように途切れ途切れに呟く言葉が聞こえてくる。

「風が守りたいものは、あたしも守りたいものだから!風の辛そうな顔も、上っ面じゃなくて温かい声も、全部知ってるんだから…!妹でも家族でもいいから、側に置いて…!」

理性がどうの、家族がどうのと理由をつけて挑戦する気を振り絞らなかった自分に情けなくなりながら、それさえも飛び超えて…いや、気づいたら全部口にしてしまっていたような彼女に呆れながら、体の力を抜いた。

「千里は強いな、本当に…」
「…その言い方、新造さんみたい」

予想外な言葉に振り返るまいとした理性などどっかに飛んでいって、「親父に似てるか、俺?」と素直につっこんでしまった。

「似てるよ」ふっ、と千里は笑った。「言いたいこと自分の中にしまいこんで、ムダにいい笑顔してあたしを眺めてるとこが…」

まっすぐで、ぱっと笑っては、じっと涙する。自分には無いものを沢山持っている女。

「お前も似てるよ。そのよく人のこと観察してるとこが」
「観察してないし。見せてるんでしょ」

お互い減らず口を叩きながら歩み寄って、やましい気持ちも一切なく静かに見つめ合った。どちらともなく手を伸ばして抱きしめ合う。

「一緒に生きよう、これからもずっと」

抱きしめた千里は今までの女の誰よりも、純粋に愛しかった。

「あたし、お兄ちゃんなんてもう呼んであげない…」
「千里も女デビューか?」

背中に回した手を下げて尻をかすかに撫でると、千里の手が頬に飛んできた。

「なにすんのっ」
「い、いや…千里が言ったんだろ、お兄ちゃんなんて呼ばないって…」
「今までだって呼んでないじゃない!何も変わらないでしょっ」

ムキになって頬をつねる千里の手首を掴むと、あっさりとつねるのを止めた。

「まだ…20なんだから、あたし」
「大事にするさ。俺が女にしてやるから」
「んんっ!」

そのまま口付けて、とやかく言う口を塞いだ。この唇に翔は何度口付けただろうと思うとイラっとする。

「愛してる。…千里もなんか言って?」

こういうときはまっすぐじゃない。千里は目を横に流して困ったように言った。

「風、…好き」


(終)